シンクロニー傾向
【東京雑学研究会編】
§好意を持っている相手とは、だんだん同じしぐさになってくる
垣根越しに見える縁側で、老夫婦がお茶を飲んでいる。夫の庭仕事の合間の休憩に妻がおやつを運んだらしい。よく見ると、二人とも同じように左手にのせた湯のみを右手で包むようにして口に運ぶ。
こんな光景を目にしたら、その老夫婦は、長い結婚生活を本当に信頼し合い、いたわりあいながら過ごしてきたといっていい。なぜなら、愛し合いともに過ごしている二人は、しぐさが似てくるものだからだ。
また、夫婦でなくても、特別な恋愛関係でなくとも、好意を抱き合った者同士には、たとえ同性同士でも、この老夫婦と同じような「シンクロニー(同調)傾向」あるいは「姿勢反響」という現象が起こるとされている。
しぐさばかりか、話す声の強弱やスピード、間の取り方から発言内容までも似てくるという。というよりは、好意を抱いた人と話をしていると、相手の気持ちを理解しようとして、姿勢や手の動かし方などを無意識のうちに相手に合わせるため、自然に同じしぐさになってしまうのだ。
ということは、この心理を利用して、好きな相手に自分を好きになってもらうことも不可能ではないことになる。喫茶店で、相手がコーヒーを口に運んだら自分もカップを持ち上げる。相手が水のはいったグラスを手にしたら、たとえ飲みたくなくても水を飲む。といった調子で、しぐさを合わせることで気持ちも合っていると思わせるようにすればいいという理屈になる。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670484 |