ウオッカ
【東京雑学研究会編】
§一気飲みが正式な飲み方の「火酒」
寒い国らしく、ロシアではアルコール度の高い酒で体を温める。そのロシアで愛されているお酒がウオッカである。日本では「火酒」といわれるくらいで、無色透明の蒸留酒は、水みたいなのに、火をつければ燃えるし、口に含めば火がついたように熱い。
たいていは、小麦、大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀類から造られているが、ブドウ、サクランボ、リンゴなどのフルーツが原料となったものもある。ハチミツから造ったという変り種も見られる。これらを糖化・発酵させたうえで二回の蒸留を経て濾過するのだが、このときシラカバや菩提樹の活性炭を詰めた濾過装置を使うため、独特の風味が加わっている。
そしてでき上がるウオッカは、アルコール度が四〇%以上になる。これをロシアの人たちは、きりりと冷やして脚のついた小さいグラスに注ぎ、一気にあおる。アルコールと感じる暇さえないくらいのスピードで喉を通過したあと、体はカーッと燃えるようになるのだが、外に出れば一気にそれが醒めるほど、ロシアの冬は寒いのだ。
こんな強い酒なのに、ウオッカの名前の由来は、「水」という意味のロシア語ヴァダから転じたもの。まるで水のように身近で、ごくごくと飲む飲料として愛されてきたことがわかる名称なのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670076 |