ローマ法王
【ろーまほうおう】
キリスト教で最多の約12億の信者を擁する「ローマ・カトリック教会」の最高位聖職者。独立国家バチカン市国の元首も兼ねている。イエス・キリストが選んだ12人の弟子「使徒」の筆頭で、ローマ皇帝ネロの迫害で殉教したペテロの後継者に位置付けられる。
終身制が原則だったが、第265代ベネディクト16世が2013年2月、歴代法王で約600年ぶりに存命中に退位した。後任は、法王に次ぐ枢機卿の80歳未満の115人による選挙「コンクラーベ」で選出。13年3月13日、アルゼンチン出身のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿(76歳)が第266代法王「フランチェスコ1世」に就任した。欧州以外からの選出は約1300年ぶりで、中南米出身者は初めて。
前法王の退位に際しては、教会内の保守派とリベラル派による権力闘争や、聖職者による児童への性的虐待などのスキャンダルが取りざたされた。混乱を背景に、ベルゴリオ氏のほか、ガーナ人枢機卿が初の「黒人法王」として選ばれる可能性も報じられるなど、本命不在で欧州出身者以外の選出が有力視されていた。
新法王は、母国の同性婚合法化の動きを批判するなど保守的な立場とされるが、「控えめな性格」(13年3月14日・日本経済新聞)という評判で調整能力が期待されたとみられる。なお、日本ではかつて「法王」を「教皇」とも訳されていたが、一般的には「法王」が定着。これに対し、日本のカトリック教会は1981年に当時の法王、ヨハネ・パウロ2世が来日したのを機に「教皇」の呼称で統一した。
| 時事用語のABC (著:時事用語ABC編集部) 「時事用語のABC」 JLogosID : 14425467 |