国民栄誉賞
【こくみんえいよしょう】
内閣総理大臣(首相)が、「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったもの」(国民栄誉賞表彰規程)と認めた者に対し、栄誉をたたえるために表彰する。1977年9月にプロ野球・読売巨人軍の王貞治選手(当時)が通算756号の世界新記録を打ち立てた際、福田赳夫首相(当時)がその偉業をたたえ、国民栄誉賞を創設して授与したのが始まり。
近年では、女優の森光子さん(2009年7月)、俳優の森繁久彌さん(死去後の09年12月)が受賞。11年8月には、サッカー女子W杯ドイツ大会を制した日本女子代表「なでしこジャパン」が団体として初めて受賞した。12年11月7日、女子レスリングの五輪、世界選手権で13連覇という前人未到の偉業を遂げた吉田沙保里選手が受賞し、歴代の受賞者は19人、1団体となった(12年11月9日時点)。
内閣府の規程では、「内閣総理大臣が表彰を行おうとするときは、候補者について、民間有識者の意見を聞くものとする」としている。受賞者には表彰状および盾とともに、副賞として記念品あるいは金一封が贈られる。吉田選手は、男子レスリングで五輪3大会を含む世界12連覇を遂げた“霊長類最強の男”アレクサンドル・カレリン氏(ロシア)の記録を塗り替える偉業だった。吉田選手は副賞に記念品を希望。金メダルにちなんだ金の真珠のペンダントで、「13連覇になぞらえて直径13ミリの粒が添えられ、その上には聖火があしらわれた」(12年11月8日・日刊スポーツ)特注品が野田佳彦首相から贈呈された。
国民栄誉賞を巡っては、昭和の大スター石原裕次郎氏(俳優)、競泳平泳ぎで五輪2大会連続2冠の北島康介選手ら実績抜群の者でも受賞していないためか、「時の首相のさじ加減。政権浮揚のために存在する」(12年10月8日・サンケイスポーツ)といった批判がつきまとう。なお、米大リーグで活躍するイチロー選手は小泉政権時代の01年と04年の2度、受賞を打診されたが、時期尚早を理由にいずれも固辞している。
歴代の受賞者・団体(受賞年月)肩書は次の通り
1王貞治(1977年9月)プロ野球選手、2古賀政男(78年8月)作曲家、3長谷川一夫(84年4月)俳優、4植村直己(84年4月)登山家、5山下泰裕(84年10月)柔道選手、6衣笠祥雄(87年6月)プロ野球選手、7美空ひばり(89年7月)歌手、8千代の富士(89年9月)大相撲第58代横綱、9藤山一郎(92年5月)歌手、10長谷川町子(92年7月)漫画家、11服部良一(90年2月)作曲家、12渥美清(96年9月)俳優、13吉田正(98年7月)作曲家、14黒澤明(98年10月)映画監督、15高橋尚子(2000年10月)マラソン選手、16遠藤実(09年1月)作曲家、17森光子(09年7月)女優、18森繁久彌(09年12月)俳優、19FIFA女子ワールドカップドイツ2011日本女子代表チーム(なでしこジャパン、11年8月)、20吉田沙保里(12年11月)レスリング選手
| 時事用語のABC (著:時事用語ABC編集部) 「時事用語のABC」 JLogosID : 14425432 |