アイリッシュ
発祥の地としての誇りをかけ復活へ
英国領北アイルランドとアイルランド共和国を含めたアイルランド島全土で造るウイスキーの総称がアイリッシュだ。12世紀中頃を起源とする、ウイスキー発祥の地として知られる。かつては米国への輸出が活発だったが、禁酒法時代以後はスコッチとの競争に破れ、多くの蒸溜所が消えていった。アイルランド共和国では、生き残ったコーク、ジェムソン、パワーズの3社が集約する形で1975年に新ミドルトン蒸溜所を建設。北アイルランドのブッシュミルズと2カ所のみの時代が続いた。その後1987年にクーリーが新設され1992年から製品を発売。3つの蒸溜所によるアイリッシュ復活への動きが高まってきている。
単式3回蒸溜でまろやかな味わいに
アイリッシュ・ウイスキーは、おもに次の4種類に分類できる。(1)ポットスチル・ウイスキー(大麦麦芽に未発芽の大麦やオート麦などを組み合わせたもの)、(2)シングルモルト・ウイスキー(大麦麦芽のみを原料としたもの)、(3)グレーン・ウイスキー(トウモロコシを原料としたもの)、(4)ブレンデッド・ウイスキー(モルト原酒とグレーン原酒を混合したもの)。スコッチと大きく異なる点は、ピートを使わないことと、単式蒸溜器で3回蒸溜すること。雑味が少なくマイルドな口当たりで風味も甘いという特徴を持つ。ただし、近年はこの限りではなく、様々なタイプが生まれている。
| 東京書籍 (著:上田 和男) 「洋酒手帳」 JLogosID : 8515552 |