ピエモンテ
北西イタリアに位置するピエモンテ州は、トスカーナと並ぶ高品質ワインの産地。ランゲ地区はその心臓部にあたる。ここは北イタリアで最も洗練された赤ワインの生産地であり、バローロ、バルバレスコはその頂点に立つ。この両者のワインを生み出す品種はネッビオーロである。一般に気難しいといわれるこの品種は、ランゲ地区においては見事に成熟する。同地区ではネッビオーロ以外に、バルベラ、ドルチェットの品種も栽培される。両者からつくられるワインは、ともに地元では長く愛飲されてきた。
ネッビオーロは、ぜひとも試してみたい品種だが、バローロ、バルバレスコにおいては値も張り、容易には手が出せない。そこで品種の個性を知る入口としてお薦めの方法は、「ランゲ ネッビオーロ」とラベルに記された、バローロ、バルバレスコの両地区を含む広域のランゲ地区で栽培されるネッビオーロからつくられたワインを試してみること。格付け的にはバローロ、バルバレスコより下がるし、長期熟成という意味では一歩譲るかもしれないが、優れた生産者のものは品質的にも期待でき、お値打ち感が高い。
ピエモンテ州は総じて赤が中心だが、白も生産している。辛口では「ロエロ アルネイス」や、コルテーゼ種でつくる「ガヴィ」が有名。甘口では、モスカート ビアンコ種からつくられる弱発泡性の「モスカート ダスティ」などが知られている。
| 東京書籍 (著:熊野 裕子) 「ワイン手帳」 JLogosID : 8538755 |