人はみな〈見る─見られる〉という構図のなかを生きている
【名言名句】
人はみな〈見る
─見られる〉という構図のなかを生きている
【解説】
たとえばズボンに大きな穴をあけて町を歩いてみる。他者の視線を五感で感じることはできないにもかかわらず、また、実際にあなたを見ている人がいるかいないかわからないにもかかわらず、あなたは人に「見られている」と明瞭に感じるであろう。この場合、あなたを見ている他者とは、あなたがつくり出した他者なのである。あなたを見ていたのは、実はあなた自身であった。
もしも今、あなたが劣等感や羞恥心などに苦しんでいるのなら、この視点から事態を見直してみるのも有効な手立てではないだろうか。
【作者】浜田寿美男
【生没年】1947~
【職業】心理学者
【出典】『「私」とは何か』
【参考】浜田は、〈見る─見られる〉という構図について、『「私」をめぐる冒険』の中でも、人間の赤ちゃんとチンパンジーそれぞれに鏡をのぞかせる実験の結果を示して、人間は「自分をはっきりと見られる存在として生きはじめるときがある」「見られる存在としての自分を意識しながら生きている」のだと論じている。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450477 |