【名言名句の辞典】4愛 > 男と女の愛の形
長い結婚は必ずしも出発に支配されない

【名言名句】
長い結婚は必ずし
も出発に支配されない
【解説】
作品中で、六十二歳の尾形信吾が述懐している言葉である。
信吾は妻保子の姉にあこがれを抱き、保子もまた姉の夫である義兄に思いを寄せていた。姉が死に、保子は義兄に献身的につくしたけれども結ばれることはなかった。信吾はそのことを承知して保子と結婚した。姉夫婦のことは二人の心の底にあって消えることはなかった。
年月が愛憎の炎を昇華し平穏な生活を送れるのも、心の底の痛みをお互いが触れることなくそっとしておいたからである。信吾にとって妻保子との三十数年にわたる結婚生活に悔いはなかった。
【作者】川端康成
【生没年】1899~1972
【職業】作家
【出典】『山の音』
【参考】川端はこの『山の音』で野間文芸賞を受賞している。成瀬巳喜男が映画化した。
![]() | あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450399 |