【名言名句の辞典】1人生 > 老いとともに生きる
望むのが私の生きがいだった--だが今はその望みもすてたもう何も望まないすなわち死も望まない

【名言名句】
望むのが私の生き
がいだった--だが今はその望みもすてたもう何も望まないすなわち死も望まない
【解説】
食道がんで闘病中の一九六四年の作。すでに死期を悟っていたのであろう。この詩を「絶望」と見るか、「あきらめ」と見るか、「悟りの境地」と読むか、人それぞれであろうが、避けられない死を淡々と受け止めようとしているように思われる。
【作者】高見 順
【生没年】1907~65
【職業】作家
【出典】『死の淵より』
【参考】ちなみに、高見はこのころ、日本ペンクラブの運営や日本近代文学館の創立に、病|躯をおして尽力していた。その起工式の翌日、完成を見ることなく、五十八歳の生涯を閉じた。『死の淵より』は、病床で数行書いては数日休みというようにして書きつづけた作品。私生児として生まれた高見は自分の誕生を祝福されないものと感じていた。そして、「死ぬときも ひとしくひっそりと 此の世を去ろう」と書いた。
![]() | あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450146 |