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東洋医学のしくみ2章 東洋医学ではこう考える >

六気と天人相応
【ろっきとてんじんそうおう】

自然法則を根底とした生理観-六気と天人相応

◆気候の変化を病因ととらえる
 東洋医学のしくみを知るために、ここからは人間の体のシステムや病気の発生がどうなっているかという、「生理観」「病理感」の一端を見ていくことにします。
 東洋医学で分類される病気の原因に、「六淫(ろくいん)」と呼ぶグループがあります。これは、病気を引き起こす6種類の病因の総称です。外部にある「六気」が人体を襲い、それによって発生する病気の原因を六淫としているのです。
 六気とは簡単にいうと気候のことで、これ自体は人体には無害なのですが、この過多や不足によって病気が引き起こされる、つまり気候の大きな変化が病気の原因としてとても大きなファクターを占めているというわけです。なお、六淫は体の外からの病因(外感)の一部です。

◆風の気がもたらす病気が「風邪」
 六気は気候のことだといいましたが、正確には気候の特徴のことで「風・暑・火・湿・燥・寒」に分けられます。四季に当てはめると左上の表のようになります。
「暑・湿・寒」は文字通りの意味で、「火」は暑がさらに強まった状態、「燥」は乾燥、「風」は気温の上昇によって起こる空気の対流を指します。つまり季節は春になります。「長夏」とは夏のもっとも湿度が高くなる時期をいい、日本なら梅雨といったところで夏の前ですが、これは東洋医学が生まれた中国の一地域の季節感なので、秋の前にきます。
 とにかく、気候の変化が人体に影響を与え、気候の異常が病気の直接の原因となると考えるのです。
 たとえば、六気の中の「風」が異常になると六淫の風として人体を襲います。一般に、六淫は六気のそれぞれに「邪」をつけますから、これは「風邪(ふうじゃ)」となります。あとでも触れますが、風邪はほかの感冒の症状も引き連れてきますから、それを代表してカゼのことを「風邪」と表すようになったのです。

◆「天人相応」という哲学
「暑さによる夏バテ」とか「寒くてカゼをひいた」というように、気候と体調の変化を結びつけるのはとくに珍しいことではありません。しかし、現代医学では暑さや寒さは引き金であって、それらが「体に取りついて異常を起こす」ために病気になるとは考えません。病気の直接の原因は別にあるとみるのがふつうです。その点東洋医学では、治療も気候の違いを考慮して進められます。
 このように、東洋医学には自然現象と人体に起こる現象を密接に結びつけるという発想があり、そのベースには「天人相応」、または「天人合一」と呼ぶ中国哲学の考え方がどっかりと腰をすえています。
 天人相応とは自然界大宇宙)のしくみを作っている要素と、人の体(小宇宙)のしくみを作っている要素は基本的に同じだという考え方です。この大自然の法則を人体に当てはめれば体のしくみがわかることになり、東洋医学の生理観の根底はここにあるのです。
 もちろん自然法則のすべてをそのまま人体に応用するのは無理ですから、解釈を変えたり合わないものを排除したりしなければなりません。取捨選択を繰り返しながら、次第に東洋医学の生理観ができあがってきたのです。




日本実業出版社 (著:関口善太)
「東洋医学のしくみ」
JLogosID : 5030043


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出版社:日本実業出版社[link]
編集:関口善太
価格:1,620
収録数:115
サイズ:20.8x14.8x1.6cm(A5判)
発売日:2003年7月
ISBN:978-4534036179

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