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東洋医学のしくみ2章 東洋医学ではこう考える >

東洋医学の診断体系
【とうよういがくのしんだんたいけい】

◆治療以前に行われる「診断」
 東洋医学(中医学)と聞いて、漢方薬や鍼灸、按摩といった直接の療法を真っ先イメージする人が多いのではないでしょうか。まずは、この認識を改めてもらうことから説明を始めなければなりません。
 現代医学の場合だと薬、注射、手術などのイメージのほかに、その前段階であるいろいろな検査や医師の診察・診断を連想することも多いでしょう。それらがあって、薬や手術が伴うのです。
 検査や診察を医学的な考え方でいうと、「生理観」と「病理観」ということになります。生理観とは、人間の体がどういうシステムになっているか、病理観とはそのシステムが乱れたらどうなるかということで、この2つを土台に診断を行い、診断の結果に基づいて治療方法を決め、治療するしくみになっているのです。
 生理観や病理観を持たず、治療技術があるだけの医療は未熟な医療です。いわゆる民間療法にはそういう例が多く、治療技術を裏付ける理論がないために、いつまでも信頼性が得られず応用もきかないのです。

◆東洋医学の治療技術とは
 東洋医学にも「生理観」と「病理観」があります。東洋医学には東洋医学の診断方法があり、それに対応して、中国三千年の歴史の中で試行錯誤を繰り返しながら、治療技術が開発されてきました。
 つまり、漢方薬、鍼灸、ツボ療法、薬膳などの療法であっても、それらは診断の結果によるそれぞれの治療ケースであって、診断の段階ではその病気について同じ判断がされているのです。
 たしかに、現代医学にどっぷり漬かっている私たちは、東洋医学の治療法にある種の神秘性を感じるでしょう。その認識がときには「奇跡の」などと喧伝されたり、見よう見まねの我流の灸や按摩がまかり通ったり、あるいは軽視や偏見につながるのです。まずは、これらの見方が東洋医学のバックボーンの誤解につながることを頭に入れてください。

◆なぜ漢方薬副作用が起こるのか
 東洋医学にも現代医学に匹敵する診断体系があるにもかかわらず、現代医学の視点からはあまりにも軽視されているのが実状です。大きな理由は、現代医学の生理観・病理観と東洋医学のそれが根本的な部分でかなり違っていることにあります。現代医学の考え方に慣れ親しんだ頭を、東洋医学の考え方に切り替えるのは容易なことではありません。容易ではないから、切り替えずに軽視するというわけです。
 しかし一般人ならともかく、医療従事者による東洋医学体系の軽視は、とんでもないことにつながります。
 近年よく問題になる、漢方薬副作用もその一つです。漢方エキスを患者に出す病院の多くが、東洋医学の診断ではなく現代医学の診断に基づいて処方した結果、副作用が起こっているのです。これは、東洋医学の診断に照らせば明らかに誤診に相当します。当然、中国の病院でそういう使い方をすることはあり得ないので、同じ漢方薬でも副作用の報告はありません。
 また、現代医学の解剖学の診断で行われる針治療にも、同じことがいえます。針という道具だけ東洋医学のものを使っていても実態は現代医学なのですから、東洋医学的な治療を求めて鍼灸にすがる人の期待には応えられないでしょう




日本実業出版社 (著:関口善太)
「東洋医学のしくみ」
JLogosID : 5030042


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出版社:日本実業出版社[link]
編集:関口善太
価格:1,620
収録数:115
サイズ:20.8x14.8x1.6cm(A5判)
発売日:2003年7月
ISBN:978-4534036179

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