急性白血病
【きゅうせいはっけつびょう】
Acute Leukemia
赤血球、白血球、血小板などの各種血液細胞は、骨髄にある多能性造血幹細胞が分化、成熟してできます。この造血幹細胞が腫瘍(しゅよう)化し、骨髄において増殖する病態を白血病と呼びます。
腫瘍化した造血細胞が分化、成熟する能力を保持している場合を慢性白血病と呼び、分化、成熟がある一定のレベルで停止し、幼若(ようじゃく)な細胞が増加してくるのを急性白血病と定義します。日本での年間発生率は人口10万人あたり、約4人とされています。急性白血病の代表的な分類法は、形態を中心としたFAB(French-American-British)分類で、一般の病院でもできる血液塗沫標本のメイ・ギムザ染色といくつかの特殊染色で急性白血病を分類するものです。
まずは、ミエロペロキシダーゼ染色で骨髄性白血病(陽性)と、リンパ性白血病(陰性)に分けます。骨髄性とリンパ性では治療法が異なるため、この分類は重要です。さらに骨髄性は、M0からM7までの8種類に、リンパ性はL1からL3までの3種類に分類されます。最近では、染色体・遺伝子レベルでの解析を加味したWHO分類も作成され、治療予後との関連性がより強くなっています。一方、かなり複雑なものとなり、本項では説明を省きます。急性白血病では、腫瘍細胞に骨髄が占拠されるため、正常造血幹細胞の増殖、分化が抑制され、赤血球減少、正常白血球減少、血小板減少が起きます。とくに顆粒球減少による細菌感染、血小板減少による出血傾向が往々にして大きな問題となります。
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5035210 |