A(H5N1)インフルエンザ
【えー(えいちごえぬいち)いんふるえんざ】
A(H5N1) influenza
1997年香港での発生に端を発し、一時は終息したかにみえたA(H5N1)インフルエンザ、いわゆる“高病原性鳥インフルエンザ”のヒトへの感染例は、2003年に中国およびベトナムでの発生以来、アジア地区のみならず世界中から報告されています。WHOに報告された2012年2月現在、A(H5N1)インフルエンザの確定症例数は2003年以降の集計で584例、そのうち死亡例は345例(死亡率59.1%)と季節性インフルエンザに比較して極めて高く示されています。また、その感染者例は若年者に多く死亡者も40歳以上は少なく、感染者が小児に多く死亡者は高齢者に多いという季節性インフルエンザの疫学的な特徴と異なる傾向となっております。このように高い死亡率を伴うA(H5N1)インフルエンザですが、近年では適切な抗インフルエンザ療法を行うことによって死亡率を低下させることが可能になっています。
このような背景をもつA(H5N1)インフルエンザが流行した際の対策として、WHO(世界保健機関)では各国や自治体ぐるみの予防策を呼びかけております。日本では、すでに各自治体で“新型インフルエンザ”の対策が進んでおりますので、万が一、死亡率が高いA(H5N1)が流行したとしても、決して動揺せずに適切な医療機関で治療を受けることが最も大切です。
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5035008 |