並木②
【なみき】
【道と路がわかる事典】 4章 道の由来と文化 >
明治以降、伐採により多くの並木を失ったが、それでも旧街道には今も往時をしのばせる並木の残っているところがある。その代表的なものが日光の杉並木だろう。日光街道と日光例幣使街道、会津西街道の両側三五・一四kmに渡って、樹齢三〇〇年を越える老杉約一万三〇〇〇本の並木が続いている。わが国では唯一、国の特別史蹟と特別天然記念物の二重の指定を受けた貴重な文化財なのである。世界一長い杉並木として、ギネスブックにも載っている。
日光杉並木は、一六二八~四八年にかけて、松平正綱が紀州から苗木を取り寄せて植樹したものだという。この壮観な杉並木も、環境の悪化、杉の老齢化などにより毎年一〇〇本以上も枯れているといわれ、その危機を打開すべく保護活動も盛んに行われている。
杉並木としては、このほかに旧東海道の、石畳で知られる箱根の杉並木や、熊本県の大津街道の杉並木などがよく知られている。
江戸時代の東海道には、松並木が延々と続いていた。だが、戦時中に飛行機の燃料を採取するため、また道路の拡張などのために伐採され、今ではごく一部にその面影をとどめているにすぎない。
函館市郊外の七飯町には、函館奉行が佐渡から取り寄せた赤松の並木が一〇kmに渡って続いている。松の数一〇〇万本という虹の松原(佐賀)は日本三大松原の一つとして有名だ。
このほか、桜並木やポプラ並木、リンゴ並木、イチョウ並木、ソテツの並木などさまざまな並木がある。時代は変わっても、並木は道路を潤し、人々に安らぎを与えてくれるという点に変わりはない。並木は日本の文化として、これからも大切に育て、守っていきたいものである。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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