ミイラ
【みいら】
【雑学大全2】 社会 > 宗教
からからに乾燥した状態で、長期間ほぼ原形を保つことができる死体ミイラ。自然にできたものもあれば、人の手を加えてつくられたものもある。とくにミイラづくりが盛んだった国の一つに古代エジプトがある。古代エジプトでは、実際にどのようにしてミイラがつくられていたのだろう。ミイラづくりのポイントは、死体の腐敗を防ぐために内臓をすべて取り出し、死体を乾燥させることだった。まずは死者の脳髄を取り除く作業からはじまる。先がカギ状や渦巻き状になった金属棒を鼻の穴からさし込んで脳髄をかき出すのだが、これが難しく、ときには脳髄を出しやすくするために鼻の穴のなかや頭蓋の基部に大きな穴を開けることもあったという。その後は胴体から内臓が取り出されるわけだが、心臓だけは取り出されることはなかった。これは、ミイラづくりが来世信仰と強く結びついていたことに理由がある。当時、理性や人格は脳ではなく心臓に宿ると考えられていたほか、感情と体力の根源ともされており、死者が永遠の命を得て復活するために欠かせないものでもあったのである。心臓以外の内臓は、脇腹や下腹部に入れた小さな切れ目から取り出された。内臓が取り出された死体は、内側と外側の両方からきれいに洗われた後、香辛料を混ぜた天然炭酸ナトリウムに七〇日間浸けられて脱水され、乾燥された。乾燥後の空っぽの頭蓋と胴体には、樹脂を塗った布やコケ類、または熱した樹液などが流し込まれた。通常、取り出された内臓のうち、腸、肝臓、胃、肺は、死体同様に天然炭酸ナトリウムに浸けられて脱水され、熱した樹脂を塗って亜麻布に包み、カノポス容器と呼ばれる壺に別々に収められた。が、ときには、この亜麻布に包まれた内臓を死体のなかにもどすこともあったという。からからに干上がってかたくなった死体の全身には香油や油が塗りこまれ(別項◆◆◆【アロマオイル】参照)、やわらかくなったところで包帯を巻いた。これがである。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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