マダイ
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【東京五つ星の魚料理】 コラム > 『古事記』の魚たち
日本最古の歴史書『古事記』の火遠理命(山幸彦)の章に、山幸彦が兄の火照命(海幸彦)から借りた鉤(釣針)を魚にとられ、その鉤を探しに海神の宮を訪れ、3年後に“赤海鯽魚”の喉に鉤が刺さっているのが発見された話が出ている。この魚が“たひ”(マダイ)である。
日本人とのかかわりの長い魚であるが、その見栄えする姿形が好まれるようになるのは鎌倉時代からといわれている。台頭してきた武士階級に好まれたのだが、それまでのアユやコイに代わってマダイが「魚の王」になるのは江戸時代に入ってからのことである。元禄年間(1688~1704)に来日したエンゲルベルト・ケンペルも『日本誌』のなかで、「鯛(マダイ)は、福の神恵比須に付き物であるために、なかば迷信的に祝い魚にされており、またその游いでいる姿が美しく堂々としているので、日本では魚の王者とされている。」と記している。
“たひ”の語源については、「たいらうお(平魚)」からともされるが、朝鮮語トミからという説が有力である。新井白石も、「タヒとよびし事は 三韓の方言によりしと見えたり ?今も朝鮮の俗 此魚を呼びてトミといひ 道味魚の字を用ゆ 其トミといふは 彼國のいにしへタヒといひし語の轉ぜし也」と論じている。
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【この辞典の書籍版説明】
「東京五つ星の魚料理」岸 朝子/選 |
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