魚①
【東京雑学研究会編】
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池のコイは、夜になるとじっとしているが、あれは眠っているのだろうか? 魚にはまぶたがない(フグなどの例外もいる)ので、いつも目を見開いており、眠っているのか起きているのか、見ただけではよくわからない。
魚は、睡眠スタイルも寝る時間も、生態に合わせてさまざまである。
カツオのように大群を組んで回遊する魚は、一生泳ぎ続けており、止まるときはすなわち死ぬときである。それでは、眠ったりしたら群れに取り残されてしまうのではと心配になるが、眠っていても泳ぎはやめない。ヒレさえ動かしていれば、群れの一匹として、ともに運ばれていくそうだ。彼らは、いっせいに夜に眠るわけではなく、泳ぎながら交代で眠る。群れで泳ぎながら眠る仲間には、イワシ、サバ、アジ、サンマなどがいる。
人間のように、昼に活動し、日没になると岩や藻の間に入ったり、岩に寄りかかったりして眠る魚は、コイ、フナ、マス、イシダイ、カワハギ、ブダイ、ハタハタなど、たくさんいる。シロギスやベラは、砂にもぐって、目と口だけを出して眠る。
反対に、夜行性なのが、ウナギやアナゴ、ウツボ、ヒラメ、カレイなどの肉食魚である。彼らは、夜にエサを探して活動するので、昼は水底で眠っている。
また、一日サイクルばかりではなく、まるで冬眠のように長い期間を眠ってすごす魚もいる。フナやコイ、ドジョウ、ウナギは、水温が下がりすぎると、眠って冬を越す。逆に、水温が上がりすぎると眠るのが、イカナゴやハイギョである。
ユニークな眠り方をするのが、南日本の海の岩礁地帯に生息するアオブダイである。日暮れになって岩陰に入ると、口から強い粘液を出して、自分の体をすっぽり覆ってしまう。その姿は、まるで分厚いパジャマを着たようであり、しかもアオブダイは、毎晩このパジャマを新たに作って眠るのである。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
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