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MRI(磁気共鳴断層撮影装置)
標準治療

 核磁気共鳴という物理現象を利用して、生体の主要な成分である水と脂肪の中にたくさん存在する水素原子核から信号を得る方法です。断面図を得るという点ではCTと似ていますが、放射線を使わないため被曝の心配がなく、出生前の胎児を検査することも可能です。病変と正常組織の信号の差が大きいため、脳梗塞(こうそく)、脳出血、脳腫瘍(しゅよう)、加齢による脳萎縮などの中枢神経系の様々な疾患の診断にとくに威力を発揮しています。手のしびれの原因となる頸椎(けいつい)症、腰痛の原因となる腰椎椎間板ヘルニアや膝や肩の関節疾患の診断にも欠かせません。子宮筋腫や内膜症などの婦人科疾患の確定診断にも有効です。
 脳動脈瘤(りゅう)の検出などを目的とした脳ドックでは血管内の血流を画像化するMRアンギオグラフィ(MRA)が活用されています。この方法で心筋梗塞の原因となる冠動脈の異常を検出することも可能です。生体内の様々な液体を選択的に画像化するMRハイドログラフィ(MRH)という手法は、胆管内の胆汁と膵管内の膵液を描出するMRCP(内視鏡的な方法であるERCPと比較すると検査時の負担が大幅に軽減されて、この領域の様々な疾患の早期発見に貢献することが期待されています)や腎・尿路系の評価(MRウログラフィー:MRU)に応用されています。最近では様々な脳機能を画像化するファンクショナル(機能的)MRIや脳虚血の超早期診断に威力を発揮する拡散強調MRIが注目されています。
 一般的に検査時には狭いトンネルの中に横たわる状態となりますが、閉所恐怖のある方や小児に適したオープン型の装置もあります。画像を得る間はかなりの騒音が発生しますが、最近は騒音を遮断する工夫を施した装置が普及しつつあります。診断精度を一層高めるために少量ですが造影剤を使用することがあります。副作用が発生することは極めてまれですが、喘息(ぜんそく)やアレルギーのある方は検査前に必ず申し出て下さい。
 装置は高い磁場を発生しているので、ペースメーカー、人工内耳や各種金属が埋め込まれている場合には注意が必要です。検査室にハサミやドライバーなどの金属類を持ち込むのは大変危険ですし、磁気カードは使えなくなることがあります。 (大友邦)

■■検査のコツ■■

イラスト:MRI(磁気共鳴断層撮影装置)

  

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