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立体道路制度
道と路がわかる事典

わが国に道路法が施行されて以来、道路の上下空間に建築物を建てることは、原則として禁止されていた。道路の建設スペースがあるときはこれでよかった。しかし、大都市は過密状態であり、道路建設用地の確保が非常に困難な状況にある。特に都市高速道路は、人口の密集した市街地に建設する必要があるため、用地の確保はなおさら難しい。だが、この法律がネックになり、道路整備が思うように進まなかったのが実情である。
そこで、貴重な都市空間をもっと有効に活用すべきではないか、との考えから生まれたのが、平成元年に創設された立体道路制度である。道路と建物を一体として建設することが可能になったのだ。
この制度を適用した最初の建築物が、関西国際空港の玄関口にある「りんくうタウン」であった。りんくうタウンに、阪神高速道路の湾岸線と日本道路公団の関西空港自動車道が接続するジャンクションが建設されたが、高架下の空間に、道路と一体となった商業施設などが建設されたのである。
ビルの中を道路が貫くという珍しい建築物もある。
大阪市の梅田地区は、わが国屈指の商業、業務地区だ。その梅田には、これまで阪神高速道路の入口しかなかった。交通渋滞は日増しに激しくなる。それを緩和するために、梅田に出口も建設する必要に迫られた。だが用地の確保は難しい。そこで、この立体道路制度が適用されたのである。土地所有者の計画するビルと道路をドッキングさせ、道路がビルの中を通り抜けるという奇妙な高層ビルが誕生したのだ。
完成は平成四年、道路はビルの五階から七階の部分を貫通している。このようなビルが、やがてあちこちの都市で見られるようになるかもしれない。

  

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