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輸送機関
道と路がわかる事典

自動車より鉄道の歴史の方が古かったということもあるが、政府は陸上交通の輸送機関として鉄道を優先した。そのため道路の整備は遅れ、長い間鉄道が陸上輸送の主役であった。しかし昭和四〇年代に入ると、モータリゼーションが到来して道路整備は急速に進み、高速道路時代に入ったいま、道路すなわち自動車が、陸上交通の主役の座についたといえる。
旅客輸送についていえば、大量輸送、高速性という面では鉄道におよばないが、自動車には玄関先から乗り換えることなく、目的地に到達できるという便利さがある。しかも時間や場所に縛られることなく、途中どこにでも立ち寄ることができるという融通性もある。そういった利点が受け入れられ、今では陸上交通における旅客輸送は、七〇%近くが自動車によるものである。
貨物輸送においては、両者の差はさらに大きい。鉄道は駅から駅までは確かに高速性に優れているが、目的地まではトラックに頼らざるをえない。荷物の積み換えによる時間のロスや、荷物の傷みも避けられず、結局はコスト高になる。それに比べ、トラック輸送には荷物の積み換えの必要がない。戸口から戸口まで直接運べるという強味がある。高速道路も着々と整備が進んでおり、高速性においてもトラック便の方が優れているのである。
貨物輸送といえば、かつては鉄道によるコンテナ便が主流だったが、今では完全にトラック便が主導権を握っている。貨物輸送の九〇%以上はトラック便によるものであり、特に野菜や果物、水産物などの生鮮食品、日用品の輸送は、九九・九%以上がトラック便なのである。コンテナをいくつも乗せた長い貨物列車がレールの上を走っていく光景は、もはや過去のものになってしまった。

  

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