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並木藪蕎麦
東京-五つ星の蕎麦

「かんだやぶそば」(58頁)、「池の端藪蕎麦」(150頁)と並ぶ藪御三家の一軒。藪御三家とは、かんだやぶそばの初代・堀田七兵衛の血縁にあたる店で、並木藪蕎麦は大正2年(1913)、七兵衛の三男である勝三氏が創業者だ。

店は、正面に雷門が見える並木通りに面して建つ木造モルタル2階建て。仕舞屋風の店舗は昭和20年代の造作。外観も店内も、ひと昔前の雰囲気が漂い、ビルの狭間に昭和中期の面影が見て取れる。「建物も味も昔ながらを守り通していますから」と、三代目当主の堀田浩二さん。

そば粉は北海道と茨城産をブレンドして使い、国産ものの味が落ちる6〜9月には、オーストラリアのタスマニア産の新そばを打つ。タスマニアの気候は日本とは逆。なおかつ真夏でも25度を超える日が少なく、朝晩の寒暖の差も大きい。また、水と空気がきれいなこともあって、そば栽培に最適な土地だという。味は日本のそばとほとんど変わらない。

並木藪蕎麦の特徴は、初代から受け継ぐ東京一辛いといわれるほどのつゆにある。冷たいそば用は7升の湯に本節だけを入れ、約1時間30分かけて3升になるまで煮詰めダシをとる。これに7〜10日間寝かせておいた2・4升のかえしとみりん5合弱を加え、ひと晩寝かせ、さらに次の日に湯せんにかけて再びひと晩寝かせるという手間隙かけたもの。あたたかいそば用のかえしも1週間ほど寝かせてから、サバ節だけでとったダシと合わせて使用。こうすることによって、並木特有のまろやかさとコクのある辛いつゆができるのだという。この味は、かつては作家の池波正太郎や杉浦日向子に好まれ、今は歌舞伎役者の中村勘三郎氏や落語家の林家正蔵氏らに愛されているという。

そばのメニューはざる、かけ、のりかけなど、そば屋の定番のみ。この店ではもりそばをざるそばと呼び、ざるそばをのりかけという。11〜3月には鴨南ばんがメニューに加わる。

  

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