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平清盛
日本史の雑学事典

■4 平清盛の白河法皇御落胤説は本当か?…異例の出世に隠された真実に迫る
 ある夜、白河法皇は、愛妾の一人で絶世の美女と謳われた祇園女御の屋敷へと出向いた。すでに日は落ち、雨が音もなく降りそそいでいた。
 白河が祇園神社の境内へ入ると、そこに全身が銀針に覆われ、口から火を吐く化け物がいるのに出くわした。驚嘆した白河は、警護役の平忠盛に、
「こんなときのためにお前がいるのだ。あいつをすぐに討て!」と叫んだ。
 だが、沈着冷静な忠盛はすぐに行動せず、じっくり化け物を観察した。すると、それは雨ゆえに蓑を被り、燈籠に火を灯そうとした神主だった。蓑が火に照らされ、藁が銀針に見えたらしい。また、火が消えないようにロウソクを吹いていた姿を、口から火を吐いているように見誤ったようだ。
 忠盛がその正体を告げると、白河は彼の冷静さをほめ、愛人であった祇園女御を与えたという。だが、そのときすでに、女御は白河の子を孕んでいた。忠盛はそれを承知で引き受け、産まれた子を後継者とした。それが平清盛であり、だからこそ、武士でありながら貴族社会の反発を受けずに、あれほどの出世を遂げたのだと言われている。
 この清盛の御落胤説は、学会でもかなり有力である。ただし、清盛の母については諸説がある。祇園女御とするのは史的価値の低い『平家物語』であり、貴族の中御門(右大臣藤原)宗忠が書いた『中右記』という日記には「これ仙院(法皇)の辺なり」、つまり側に仕えた女性とあるだけだ。また、1235年の『仏舎利相承系図』には「祇園女御には妹がいる」と書かれており、彼女こそが清盛の実母ではないかとする説もある。

  

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