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道路整備
道と路がわかる事典

わが国の陸上交通における鉄道重視の政策は、第二次世界大戦まで続いた。いや、戦後の復興でも鉄道が優先されたといっていい。しかし、自動車の普及とともに自動車の重要性が認識され、一九五四(昭和二九)年には「第一次道路整備五か年計画」が発足。政府はやっと道路整備に本腰を入れはじめた。
昭和三一年に、東京―神戸間の高速道路建設の調査に来日したアメリカのワトキンス調査団長は、「日本の道路は信じ難いほど悪い。工業国でこれほど道路を無視してきた国はない」と酷評。日本政府を大いに刺激した。この調査団の訪問が、わが国の道路整備を急速に進展させる切っかけになったといわれている。
ワトキンスは「道路が悪いために輸送コストが高くつき、ひいては国際競争力を弱め、日本経済の発展を妨げている」と指摘。第一次道路整備五か年計画の内容では、まだ規模が小さすぎる。GNP(国民総生産)の二%程度を道路整備にあてるべきで、東京―神戸間の高速道路を早急に建設する必要があると提言した。
日本政府はこれを受けて、道路への投資額を大幅に拡大。ワトキンスが来日した当時は、GNPの〇・七%にすぎなかった道路整備に対する支出が、一〇年足らずの間に二%を突破、その後も二%台を維持した。わが国の道路の急激な発展は、昭和四四年に東名高速道路の開通式に招待されて再来日したワトキンスを驚かせた。
道路整備の進展が自動車の普及を加速させ、日本に本格的なモータリゼーションを到来させたといえる。それまで贅沢品でしかなかった自動車が、必需品になったのだ。舗装、拡幅、バイパス建設と、道路整備は急テンポで進み、昭和三八年の名神高速道路の誕生に至ったのである。

  

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