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長篠の戦い
日本史の雑学事典

■9 長篠の戦いで本当に鉄砲の三段撃ちはあったのか?…騎馬隊の存在すら怪しい史実の謎
 1575年の長篠の戦いは、戦国の合戦のスタイルを大きく変えた画期的な戦争だったとされている。なぜなら、無敵と言われた武田勝頼の騎馬軍団を、織田信長率いる鉄砲隊が、完膚無きまでに叩きのめしたからだ。
 信長は、これまで戦力とみなされていなかった鉄砲という武器を大量に購入し、3千の鉄砲隊を創設した。長篠の戦いでは、この鉄砲隊を3列横隊に並べ、前列が引き金を引いたらすぐに最後列に下がり、代わって2列目が引き金を引くといったように、間断なく弾を発射し続ける集団戦法を考案し、突撃してきた武田騎馬隊を壊滅に追い込んだと伝えられる。
 だがこれは、史実として非常に怪しいのだ。
 そもそも、良質の史料には、武田軍に騎馬隊が存在した記録など、どこにもない。江戸時代初期に書かれた甲州流軍学書である『甲陽軍鑑』などを見ても、武田軍に騎馬武者は少なく、その多くが馬は部下に曳かせ、自ら槍を振って奮戦したとある。よくある映画のように、一斉に数百の騎馬武者が突貫攻撃を展開するシーンは、本当の戦いには見られなかったのである。
 鉄砲の3段撃ちというのも、かなり怪しい。合戦の真っ最中に3段撃ちを整然とこなすには、奇跡的な技術が必要なはずだし、横隊ゆえ、敵に横から回り込まれたら、簡単に陣形が乱されるだろう。また、射撃直後に列を入れ替え、続いて引き金を引く行為は、考えてみればかなり危険だし、時間もかかる。そもそも、銃を構えて並んでいるのに、騎馬で突撃してくるだろうか?

  

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