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腸閉塞(イレウス)
標準治療

 腸閉塞とは何らかの原因により腸管内容の通過障害をきたした病態をいいます。腸閉塞の分類ですが、まず機械的通過障害による機械的イレウスと、腸管の運動(蠕動〈ぜんどう〉という)が侵された機能的イレウスとに大別されます。さらに機械的イレウスは、腸管内腔が癒着(ゆちゃく)や腫瘍(しゅよう)によって機械的に閉塞(へいそく)されますが、腸管への血流障害を伴わない単純性イレウス(閉塞性イレウス)、索状物による絞扼(こうやく)、ヘルニア(腸管の)嵌頓(かんとん)など腸管への血流障害を伴う複雑性イレウス(絞扼性イレウス)に分類されます。
 一方、機能的イレウスには、腹部打撲や胆石・膵炎(すいえん)・尿管結石などによる強い腹痛に伴う麻痺性イレウスと、鉛中毒などに伴うけいれん性イレウスがあります。腸管の閉塞が起こると、機械性の場合、閉塞部位より口側の腸管がガスや腸液で拡張を示します。機能性の場合は腸管全体に拡張を示します。腸管が拡張すると、腸管内圧の上昇により腸管壁の浮腫(ふしゅ)を起こし、さらに内圧が上昇すると動脈血流が障害を受け腸管壁の壊死(えし:体の組織の局所的な死)、穿孔(せんこう:孔があく)をきたします。
 複雑性イレウス(絞扼性イレウス)では、血流障害が急速に引き起こされるので重篤(じゅうとく)な経過を示します。健常成人では1日に7〜8Lの多量の電解質(ナトリウム、カリウム、塩素など)を含んだ腸液が分泌され、そのほとんどが再吸収されます。しかし、腸閉塞が起こると、嘔吐(おうと)や漏出により腸液が体外に出てしまい、電解質や体液量が低下してしまいます。循環血液量が低下し、ショックをきたすこともあり、また、腸内細菌やそれらから産生される毒素が血中に流出し、菌血症(きんけつしょう)やショックを引き起こすこともあります。

  

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