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大腿骨頸部骨折
標準治療

 この骨折は最も多く老人に発生するもので、性別では骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を伴った女性に多く、若年者に起こることは少ない骨折です。内側骨折と外側骨折に分けられます。
 内側骨折は関節包内骨折で骨癒合(こつゆごう)がしにくく、治療の難しい骨折です。その理由として、[1]骨折線が関節包内であり、骨折部に骨膜が存在しないため骨膜性化骨形成が行われない、[2]骨折部に滑膜が進入し骨癒合を遅らせる、[3]大腿骨頭への特殊な血行状態により十分な骨形成は生じにくい、[4]骨折線の方向により、骨折部に対し力が骨折部が開くよう働く、[5]高齢者に発生することが多いため、患者の骨形成能が落ちている、などがあげられます。また骨折線のレベルにより骨頭下骨折、中間骨折に分けられますが臨床的意義は少なく、もっぱらガーデン(Garden)の分類(図:大腿骨頸部内側骨折の分類)が用いられます。この分類は骨折の程度から4型に分けられ、治療上、有用です。
 外側骨折は関節包外骨折です。内側骨折と違い海綿骨も豊富で、血行もよいので、骨壊死(こつえし)を起こすことも少なく、骨癒合も良好な骨折です。部位的に転子間骨折、転子貫通骨折、転子下骨折に分けられます。しかし治療上、エバンス分類が多く用いられます。この分類は外側骨折を骨折線、内側骨皮質の損傷程度および難易度から、安定型と不安定型に分けたものです。
 前述したように、内側骨折と外側骨折は骨癒合に明らかな差がみられますが、いずれも老人に多く治療に難渋する骨折に変わりはありません。

  

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