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西陣織
雑学大全2

日本の伝統織物の一つである西陣織は、京都市を産地とした五〇〇年もの歴史を持つ高級織物である。その織り方は一五〇種類を超えるが、大別すると紋織と綴織に分かれている。京都の絹織物の歴史は古く、はるか五?六世紀にまでさかのぼる。渡来人を祖とする豪族の秦氏が大陸の養蚕技術や絹織を日本に持ち込み、その拠点を京都盆地の太秦に置いたことがはじまりだった。さらに、七九四年には平安遷都がおこなわれ、朝廷で使用されるたくさんの最高級の織物が求められるようになった。秦氏一族の築いた絹織の伝統の上に、宮廷機織工業が花開いていったのである。西陣織は、応仁の乱(一四六七?七七年)の後、各地に疎開していた絹織物の職工たちが、西軍の陣所があったあたりに集結して仕事を再開し、その後も中国などの織物を手本に技術を高め、市場に送り出された織物ということでその名称がついた。江戸時代に入ると、諸大名や豊かな町人層を顧客として高級織物の需要は増加の一途をたどり、西陣は大きく発展した。しかし、江戸後期になると、凶作や不況で高級呉服の需要が低迷したほか、丹後、長浜、桐生などの新興産地が台頭するなど、栄華を誇った西陣の織物産業も斜陽化し、停滞してしまう。しかし、明治に入ると、フランスからジャカールによって発明されたジャカード織機が入り、近代化に成功。活気を取り戻すことができた。その後、一八七七年には国産のジャカード織機を開発。一八八七年頃には、動力によって作動する力織機の導入など技術革新を進めた。また、洋風意匠新織物の工夫も考案。合成染料など新しい織物の開拓に意欲的に取り組み、万博などへの出品を通じて西陣機業の優秀さを内外に示すこととなった。ところで、イギリスの応用数学者バベッジは、ジャカールの自動織物機にヒントを得てパンチカードにプログラムをおこなう方法を考案した。これは歯車式で純粋なデジタル方式ではないが、今日のコンピュータの原型ともいわれている。

  

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