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上野動物園
雑学大全2

上野公園内にある上野動物園は、正式には東京都恩賜上野動物園といい、一八八二(明治一五)年に発足した日本で最も歴史の古い動物園だ。第二次世界大戦以前にはゾウをはじめ多くの動物を飼育し、人々を楽しませていたが、戦争が激化すると空襲時に逃げ出したら危険という理由で、大型の動物や猛獣を殺処分する命令が出された。また深刻なエサ不足もあり、終戦時には上野動物園には動物がほとんどいない状態だった。戦後、復興をめざす上野動物園では新事業として、動物を新たに迎えることや園内の整備を掲げた。そのほかに動物生態映画館の新設というものもあった。この映画館開設は一九四六(昭和二一)年に実現。「かもしか座」と名づけられたこの映画館は、昔からあった休憩所を、町中の焼け跡から集めた使い古しの資材で改修した建物のなかにベンチを並べただけの粗末なものだったが、それでも四〇〇?五〇〇人を収容可能で、三五ミリのトーキー映写機二台をそろえ、動物園の職員が映写技術者の資格をとって開館にこぎつけた。上映する作品はおもに動物の生態を撮った映画だったが、ときにはアメリカの喜劇俳優キートンなどの喜劇短編映画も上映された。この年にはまだ、動物園には新しい動物がそれほど入ってきていなかったうえ、入園料も値上げされたのだが、それでも入園者数は映画館開館前の三・五倍となり、一〇〇万人を超えた。その翌年にも同様の値上げがおこなわれたが、やはり入園者数は前年よりも約五割増となった。この背景には「かもしか座」の影響が大きいといえるだろう。「かもしか座」は、一九四八(昭和二三)年からは財団法人東京動物園協会によって運営されることとなったが、その翌年には東京都が運営するべき建物として都から指摘を受けた。この頃までにはすでに新しい動物を迎えて動物園としての復興を果たしつつあったことと、消防法などで映画館の設備規制が厳しくなったこともあり、「かもしか座」は一九四九(昭和二四)年に、わずか三年半足らずの短い歴史の幕を下ろした。

  

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