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自然暦
暦の雑学事典

◆原初的な暦は生活に密着した自然暦
 いかなる民族もある程度の文化段階に達すると暦をもつようになるが、季節感覚をもとにした原初的な暦を自然暦という。たとえば、北海道のアイヌ民族は次のような自然暦を伝えてきた(岡田芳朗『日本の暦』より)。
・祝月(または、日がそこから長くなる月)
・鳥が出て鳴く月
・ヒメイズイを採り始める月
・ヒメイズイをさかんに採る月
・ハマナスを採り始める月
・ハマナスをさかんに採る月
・木の葉の初めて落ちる月
・木の葉がさかんに落ちる月(または、サケの来る月)
・足の裏が冷たくなる月
・たいまつでサケを捕る月
・弓が折れるほど狩をする月
・海が凍る月
◆一年=一二か月から十二進法が生まれた?
 日が長くなる月が、祝月と呼ばれているように、アイヌの年初は春分を含む三月頃であった。これはアメリカインディアンの自然暦や古代ローマ暦などとも同じである。
 ヒメイズイというのは、ユリ科アマドコロ属の植物で、ハマナスとともに食用にされた。
 アイヌの自然暦は採取・狩猟の生活暦でもある。一方、農耕民のほうは種まき、収穫といった農作業の目安となる生活暦(農業暦)をもつ。このように最初の暦は生活に密着した自然暦だった。
 現在、われわれが使っているグレゴリオ暦も、それ以前に使われてきた旧暦(太陰太陽暦)もアイヌの暦も、一年は一二か月からなる。これは一二回の月の満ち欠けが繰り返されると、ほぼ一年が経過したことになるからだ。
 朔(新月)から次の朔までの平均日数(これを平均朔望月という)は約二九・五三〇六日である。また、太陽が春分点から春分点まで回帰する日数(これを一太陽年という)は三六五・二四二二日である。したがって、一太陽年を平均朔望月で割れば、正確には一年は約一二・三七か月となる。つまり、一年は一二か月と一三か月の間にあるが、これをあえて一二か月としたのは、一二という数は、二でも三でも四でも割り切れる便利な数だからだ。ここから十二進法というものが生まれ、その五倍である六十進法が生まれたといわれる。

  

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