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自然歩道
道と路がわかる事典

道路の原点ともいえるのが歩道である。車のなかった時代、道路はすべて歩道だといってもよかった。しかし、道路は車に占領され、歩行者のための歩道さえも自転車に奪われた感がある。都市の中で歩行者が安心して歩けるのは、もう公園くらいのものなのかもしれない。
文明が発達すればするほど、人間は自然への欲求心が強くなる。より短時間で目的地まで到達したいと思う一方で、よりゆっくりと歩いてみたいと思うこともある。煩わしい日常の生活から逃れ、自然の中を気軽に、そして安心して歩けるようにと整備されたのが自然遊歩道である。最近は健康ブームにも乗って、史蹟や文化財などを訪ねながらのウォーキングが、老若男女を問わず、幅広い階層の人気を集めている。
自然遊歩道には、環境省の補助を受けて都道府県が整備し、管理する長距離自然歩道と、各自治体がそれぞれ独自に整備している自然歩道とがある。長距離自然歩道の先駆けとなったのが東海自然歩道である。東海自然歩道は、東京の明治の森高尾国定公園から、大阪の明治の森箕面国定公園までを結ぶ長距離自然歩道で、一九七三(昭和四八)年に完成。全長は一六九七kmにもおよぶ。
ところが一九八〇年には、これよりもさらに長い自然歩道が完成した。北九州国定公園の皿倉山を起終点とし、九州七県を網羅した九州自然歩道で、全長は何と二五八七km。これは、青森から鹿児島までを高速道路で走った距離(約一九〇〇km)よりも長いのだ。
まだこの上がある。一九九六年に開通した東北自然歩道は、東北地方を一周して実に四三七四kmと、驚くべき長さである。自然歩道は各地で着々と整備されつつある。

  

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