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甲状腺腫瘍
標準治療

 甲状腺の結節の頻度は非常に高く、最近は人間ドックのエコー検査などで偶然に発見されることも増えています。人間ドックのエコー検査で甲状腺になんらかの所見が認められる頻度は4割程度ともいわれ、年齢が上がるとさらに増えます。良性結節には、良性腫瘍(しゅよう)である腺腫のほか、腫瘍性病変(腺腫様甲状腺腫、嚢胞〈のうほう〉)があります。腺腫の大部分は濾胞(ろほう)線腫です。濾胞腺腫は濾胞ガンとの区別がつきにくいことが多く、気をつける必要があります。
 腺腫様甲状腺腫は結節性変化をきたす特殊な病変です。甲状腺濾胞が増殖癒合(ゆごう)し、大きくなった濾胞を多数形成するため甲状腺が結節状に腫大してくるもので、時に大きな甲状腺腫を形成します。腺腫様甲状腺腫の結節が1個ないし数個しかない時は腺腫様結節と呼びます。病理学的には真の腫瘍ではなく結節性過形成であり良性の変化ですが、圧迫症状がでるほど大きくなることやガンとの区別がつかない時があります。
 甲状腺の悪性腫瘍は他の臓器の腫瘍に比べてやや特殊な一面があり、比較的予後のよい分化ガンがほとんどです。分化ガンには乳頭ガン、濾胞腺ガン、髄様(ずいよう)ガンがあります。分化ガンの増殖はゆっくりであり、あまり急に増大することはありません。数年から時には数十年もの間、頸部に腫瘤(しゅりゅう)を触れる以外それほどの自覚症状もなく経過することがあります。ただゆっくりではありますが、次第に周囲臓器へ浸潤し、頸部リンパ節転移、肺、骨などへの血行転移もみられることがあります。
 また、分化ガンの中でも長期に存在した乳頭ガンなどは、高齢になって後に述べる悪性度の高い未分化ガンに変化するものもあります。数カ月単位で増大する腫瘍は未分化ガンや悪性リンパ腫が疑われます。未分化ガンは前述のように長期に存在した分化ガンの中から転化して生じると考えられ、高齢者に多くみられます。ただ急に腫瘤が大きくなった場合、上記の悪性度の高いガンばかりでなく、良性の嚢胞(のうほう)や腫瘍内への出血の場合もあるので、まず病院で甲状腺超音波検査などをしてもらうとよいでしょう。

  

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