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玄奘三蔵
雑学大全2

『西遊記』といえば、ドラマでは堺正章が演じ、最近では香取慎吾がリメイクし、日本で最もお茶の間に親しまれている中国の古典といっても過言ではないだろう。絵本や漫画、人形劇、舞台、映画など、様々な形で上演されてもいる。三蔵法師(玄奘三蔵)が、孫悟空と猪八戒、沙悟淨という妖怪をつれて天竺へ経典を取りに旅に出るというお話だが、実はこの物語は、中国本土の起源をたどっていくと、内容も登場人物もかなり違っている。歴史の古い物語であり、その時代ごとに語り継がれているので、様々につくりかえられていったと思われるが、いちばん興味深いのは、『西遊記』が完成する以前の説である。唐時代後期の三蔵法師の取経物語では、沙悟淨の原型である深沙神(深沙大将)が登場する一方で、図像集や仏画によると、三蔵法師は「サル」ではなく「虎」を連れて旅をしているという。「ブタ」に至っては、まったく登場していないようだ。その後、物語は、当時信仰されていた密教に影響されながら、宋の時代になると、『大唐三蔵取経詩話』などの冊子にまとめられた。ここでようやく孫悟空の原型の猴行者が取経の旅に加わる。その姿は福建省泉州市の開元寺西塔のレリーフに残っている。元の時代になると、各地の民間伝承を吸収して「西遊記平話」となり、ここで孫悟空には暴れん坊のサルという現在のキャラクターに通じる性格が出てくる。ブタの猪八戒もここで朱八戒として登場している。朱八戒は、当時中国やチベットの仏画に描かれ信仰されていた摩里支天菩薩が乗っている猪(ブタ)がモデルといわれる。物語では、摩利支天のもとで御車将軍をした後、天界で水軍を指揮していたが、女癖、酒癖が悪く、天界から地上に落とされ、豚の妖怪となる。その後、三蔵法師に弟子入りし、孫悟空、沙悟淨らと天竺へ向かう。現在でもリメイクされ続けている『西遊記』。今後も登場人物が変わっていくかもしれないが、いつの時代でも多くの人の興味をひく名作であることは確かである。

  

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