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胸部外傷
標準治療

 胸部は肺、心臓などの呼吸や循環など生命を維持する重要な臓器と大きな血管(胸部大動脈)が鳥かご状の肋骨(ろっこつ)に囲まれています。そのため胸部外傷は単独外傷でも直接の死因となってしまう重大な損傷です。これは交通事故(ハンドル外傷、シートベルト外傷など)や転落事故などで胸部を強く打った時に起こります。代表的な胸部外傷としては、肋骨骨折、気胸(ききょう)、血胸(けっきょう)、肺挫傷、心挫傷(心タンポナーデ、心破裂)、大血管損傷、気管損傷などがあります。

1)肋骨骨折
 肋骨は外力により簡単に折れやすいのが特徴です。肋骨だけが少し折れている場合にはさほど問題はありませんが、それが肺を傷つけると気胸や血胸となり、何本かが一緒に折れている場合(多発骨折)には、呼吸運動がうまくできなくなります。この状態をフレイルチェストといいます。また、肋骨でもお腹に近い下位肋骨骨折がある場合には腹部外傷を合併している場合もあります。

2)外傷性気胸、血胸
 外傷によって胸腔(きょうくう)内に空気あるいは血液がたまった状態をいいます。空気あるいは血液があるために、息を吸った時に肺が十分に拡張できないために呼吸機能が低下します。この胸腔内にたまった空気や血液が増えていくと、心臓や外傷を受けていない反対側の肺を圧迫することになります。この状態を緊張性気胸、緊張性血胸といいます。心臓が圧迫されると、心臓の拡張が障害されるために心拍出量が減少し血圧が低下します。反対側の肺が圧迫されると呼吸機能はさらに低下します。

3)心タンポナーデ
 心臓は心膜という膜に包まれており、この心膜と心臓との間(心嚢〈しんのう〉内)に血液が貯留することによって起こります。心嚢内に60〜100mLの血液がたまると、この血液のために心臓の拡張障害が起こります。その結果、心臓が十分な血液を全身に送ることができなくなります。

  

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