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悪性黒色腫
標準治療

 メラニンをつくる細胞であるメラノサイトが悪性化した腫瘍(しゅよう)です。メラノサイト系の良性腫瘍がほくろ・黒あざ(色素細胞母斑〈ぼはん〉)(あざの項参照)ですが、色素細胞母斑から生じる悪性黒色腫もあります。その例として、先天性の巨大色素細胞母斑に悪性黒色腫が時に生じることがあげられます。しかし、比率としては色素細胞母斑から生じるものよりもメラノサイトから生じる悪性黒色腫のほうがずっと多いと考えられています。
 悪性黒色腫の大きな特徴は非常に転移を起こしやすいという点です。したがって、多くの悪性腫瘍の中でもとくに悪性度の高い腫瘍の1つとして昔から恐れられてきました。
 悪性黒色腫の発生頻度には人種差があり、白人が最も多く、以下、黄色人種、黒人の順になります。白人に多い理由は、メラニンの乏しい白い肌は紫外線の影響を受けやすいため、DNAに傷がつきやすいことが関係していると考えられます。したがって、悪性黒色腫に限らず他の皮膚悪性腫瘍も白人には高頻度に生じます。
 日本人の悪性黒色腫の特徴は、足の裏に多くみられることです。ただし、「多い」という意味は、白人に比べ絶対数が多いということではなく、紫外線が誘因となって生じる悪性黒色腫が少ないために、相対的な比率が高いということです。悪性黒色腫は、4つのタイプに分けられ、横に広がる時期が長く、遅れて下方に増殖していく表在拡大型、最初から下にどんどん増殖していく結節型、足の裏や爪の下にみられる末端黒子(こくし)型、そして顔面のしみのような色素斑からはじまる悪性黒子型です。この中で生命的予後がとくに悪いのは、結節型です。それは、悪性黒色腫の予後を左右する大きな因子は原発巣の厚さですが、結節型ではみつかった時点ですでに深くまで浸潤しているためです。実は、結節型も末端黒子型と並んで日本人に多い悪性黒色腫の型です。

  

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