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ヤドカリ
雑学大全2

真夏の海で砂浜に寝そべっていると、「よいしょ、よいしょ」と重そうな巻貝を背負って歩くヤドカリに遭遇する。その懸命に歩く姿が愛らしく、ついつい目で追ってしまうものだ。ヤドカリは、エビやカニと同じ「十脚甲殻類」の仲間で、頭と胸が甲(頭胸甲)で覆われている。そして、はさみ脚二本と歩くための脚八本の合計一〇本があるのが特徴である。エビやカニと異なる部分は、歩くための脚のうち、後ろの二対(左右二本ずつ)が前の二対に比べ小さくなっていることだ。これは、貝殻のなかに溜まったゴミや排泄物をかき出すのに役立っている。ごくたまに見る黒っぽい糸のようなものが、それである。貝殻にかくれている腹部はやわらかく、右にねじれていて、目立った節はない。卵から孵ってしばらく経った幼生の腹部には、エビのようにはっきりとした節があるが、生体になると目立たなくなるのである。そして、その頃から貝殻を背負うようになる。さて、ヤドカリの最大の特徴でもある貝殻。この貝殻は多くは巻貝の殻である。そもそもヤドカリは「宿借」と書かれるように、彼らは脱皮をするごとに自分にちょうどいい大きさの貝を探し、引っ越ししていく。まず、貝殻が窮屈になったヤドカリは、自分のはさみで大きさをはかり、ちょうどいい大きさの貝を探す。は、別のヤドカリから貝を横取りすることもよく見られるという。お目当てのヤドカリを見つけると自らの殻を使ってゴツゴツと相手の貝殻めがけて攻撃をし、追い出し作戦をする。攻撃された相手のヤドカリがたまらず出てくると自分がその貝殻に入っていき、追い出されたヤドカリは仕方なく空いたほうの貝殻に入っていくのである。これでは引っ越しというより、力にものをいわせた略奪は完了する。ヤドカリが成長しても借り物の貝殻は成長しないのだから、致し方ないのかもしれない。

  

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