ビストロ オヂ 東京五つ星の肉料理

道に車の数も少ない、広々と静かな住宅街の一角。マンサード屋根にハーフティンバーの、２階建ての古風瀟洒な洋館が目を引く。大正13年（１９２４）築、国の登録有形文化財の指定を受けているこの建物の１階で、日に２組の予約しか受けないビストロ オヂが、ひっそりと店を開いている。

昭和48年の創業以来、自分たちのキャパシティを超えることはしたくないからと、料理はステーキまたはローストビーフのコースのみ。また「当店はお客を放っておくのがおごちそう」だからと、ことさらにソフィスティケートされたサービスはしない。でも奥さんと、手伝いのお嬢さんたちのもてなしぶりはつかず離れず、出過ぎず引っ込み過ぎず、ゆったりしたコースの手順とあいまって心地よく、３時間はあっという間だ。

店というより、いつもさわやかな風が吹き抜ける、ほっこりと心やすまる家。こんな場所で、手間と心がこもった食事とともに過ごす時間を、ごちそうといわず何といおう。