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ふりかけ
雑学大全2

ご飯が一口残ったとき、子どものお弁当に、ランチパーティのおにぎりにまぶしてなどと、味も見た目も楽しくおいしくしてくれるのがふりかけだ。風味も様々ある。食材が豊かにあふれる時代の素朴な彩りといった感のある今日のふりかけには、開発時の切実なイメージはない。大正時代初期、日本人のカルシウム不足を心配した熊本の薬剤師吉丸末吉が、小魚を乾燥させて粉末にして食べることを思いついた。そのままでは味に難があるので、炒りゴマや青海苔、ケシの実などを加えてご飯にかければ、知らぬ間にカルシウムの補給ができる。それが日本に初めて誕生したふりかけだった。そうして売り出したのが「御飯の友」である。容器は瓶で、コルクの栓を使って湿気防止にロウで密封してあった。まさに瓶入り薬品のようで、おいしい薬といった体裁の薬剤師ならではの商品だった。大正末期には福島の食品販売業者が似たような配合で「是これはうまい」を売り出した。この業者は熊本出身者だったというから、末吉の製品を食べたことがあったのかもしれない。昭和初期には広島と静岡で……と次々に商品は種類を増やした。それが第二次世界大戦末から、戦後の物資不足で製造ができなくなる。しかし皮肉なことに、満州事変の頃から大陸に渡った兵士たちが、慰問袋に入れられていたふりかけを食べてそのおいしさを覚えたことが、ふりかけの普及につながったという。戦後に製造再開されてからは、健康食品というより味が重視されるようになる。海苔と卵という当時は高級品だったものが材料になり、さらにはサケやタラコから鰹節味まで登場している。子どもが好むことから、キャラクターパッケージの商品、それに対抗して大人の味を売りにするものなどバラエティ豊かである。

  

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