ガラス
毎日目にするとても身近な存在なのに、製造法や性質が理解されていないものの一つにガラスがある。改めて調べてみよう。
ガラス製造は日本の基幹産業の一つである。
薄型テレビや自動車など、現代を代表する製品の重要な一部を担っている。
しかし、その作り方や性質については意外と知られていない。
まず、家の窓に利用される普通のガラスの製法を調べてみよう。
この場合、原料はケイ砂(さ)、石灰(炭酸カルシウム)、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)だ。
これらを混ぜ、1000度以上の高温で溶かし、冷やすとガラスになる。
ケイ砂は砂状の石英(せきえい)、石灰はグラウンドに線を引くときに使う白い粉、ソーダ灰は調理で使用する膨(ふく)らまし粉のカスである。
ガラスは身近なものからできているのだ。
次に、ガラスの最大の性質である「透明性」について考えてみよう。
石灰もソーダ灰も白色の不透明な粉末なのに、それらを溶かし、冷やして固めたものがどうして透明になるのだろう。
透明とは光が吸収されないことである。
そこで、固いガラスの内部がどうなっているか、ミクロの視点で調べてみよう。
すると、たいへん面白いことを発見する。
分子や原子の並び方でいうと、ガラスはどちらかというと液体なのだ。
液体は原子の並びが不規則なので光をさえぎるような境ができない。
そのため光を通しやすい。
水が典型的な例である。
水が透明なのと同じ原理で、ガラスも透明なのである。
さて、見慣れたガラスではあるが、現在も日々進化している。
先に挙げたテレビや自動車のガラス以外にも、光ファイバー、太陽電池パネルの保護膜(まく)、高エネルギーのレーザー発信材料など、さまざまなハイテク分野で活躍している。
こうしたハイテクガラスは従来のガラスと区別するために、ニューガラスと呼ばれている。
ガラスのように、外見は固い固体でも、構造的には液体のような物質をアモルファスと呼ぶ。
近年では、鉄などの金属もガラスを真似てアモルファス化され、そこから生まれた不思議な性質が利用されている。
例えば、太陽電池や変圧器などに応用されている。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」 JLogosID : 8567054 |