自動改札
自動改札とICカードとのコラボレーションで、スムーズに交通機関が利用できるようになった。そのしくみを見てみよう。
一昔前、電車に乗るには券売機に並び、切符(きっぷ)を買ってから改札口(かいさつぐち)を通過しなければならなかった。
しかし現在、PASMO(パスモ)やSuica(スイカ)などのICカードを持ってさえいれば、公道の延長のように乗り物を利用できる。
カードをかざすだけで改札をすませられるからだ。
この便利なシステムを実現しているのがソニーの開発した非接触型ICカード技術「FeliCa(フェリカ)」である。
これはICカードと、それを読み書きするリーダー/ライターから成り立つシステムに名づけられた名称である。
以下では、JR東日本のSuicaで改札をすませる場合を例にして、そのしくみを見てみることにしよう。
駅に入場するために、自動改札機にカードをかざす。
すると、自動改札機はそのカードが正しいものかを認証し、入金額を読み取り、さらに日時や駅名等を書き込む、という一連の操作を実行する。
Suicaのすばらしい点は、この一連の操作を0・1秒という短い時間で実行する点にある。
改札でもたついては実用にはならないが、認証や読み書きが確実にできなければ改札の意味がない。
Suicaはその両方の要求を見事にクリアしたのである。
カードの中身はアンテナとICチップからできている。
自動改札機から出された電波をアンテナが電気に変え、ICチップを作動させる。
これが非接触型のICの特徴である。
このような技術は一般的にRFIDと呼ばれるが、FeliCaの自慢は一連の複雑な処理を高速に実行する点だ。
FeliCaの持つ確実な認証能力は「Edy(エディ)」「nanaco(ナナコ)」「WAON(ワオン)」などの電子マネー、会社や大学の身分証、さらにはマンション入棟や入室の際の電子キーとしても採用されている。
2011年、米国グーグル社は「GoogleWallet(ウォレット)」と呼ぶ非接触型の電子マネーサービスを開始した。
世界に先駆けて電子マネーサービスを立ち上げた日本にとって、大きなビジネスチャンスになるかもしれない。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」 JLogosID : 8567007 |