タワークレーン
高層ビル建設のいちばん高いところで活躍しているタワークレーン。そのクレーンは誰が、どのように持ち上げるのだろう。
高層ビルの建設工事でいちばん高いところでマメに活躍しているモノがある。
タワークレーンだ。
建築中にいちばん目立つので、工事の見物人の人気者になっている。
タワークレーンは高層ビルの建築に欠かせない。
低層のビル建築ならクレーン車で資材を最上階まで届けられるが、高層ビルの建設ではそうはいかないからだ。
資材を最上部に持ち上げるには、どうしてもタワークレーンの力が必要なのだ。
ところで、このタワークレーン。
見ていると不思議なことが起こる。
ビルの成長に合わせて、自分も高い位置にどんどん移動しているのだ。
タワークレーンの一連の工事の流れは、①組み立て②クライミング③解体の順で行なわれる。
①の「組み立て」は足場を固める作業である。
次の②では、ビルの成長に合わせて、クレーンを尺取虫(しゃくとりむし)のように這はい上がらせていく。
③の「解体」では、親亀・子亀・孫亀方式で屋上から分解していく。
すなわち、ひと回り小さい子クレーンを元の親クレーンの隣に設置し、それで親クレーンを解体する。
次に、その子クレーンはさらに小さい孫クレーンを隣に設置して解体するのである。
これらを繰り返すことで、御ご用よう済みのタワークレーンは地上に下ろされるのだ。
最後に残った解体用クレーンは、人力で解体してエレベーターで階下に下ろすことになる。
尺取虫的にタワークレーンがクライミングする方法には、クレーン本体がマストを昇るマストクライミングと、工事の進しん捗ちょくとともに工事中の鉄骨を利用して土台部分を階上に上げるフロアクライミングがある。
前者は超高層マンションの建築に、後者は超高層のオフィスビルの建築によく利用される。
13ページの図はフロアクライミングを示している。
ちなみに、電線の鉄塔を建築する際にもクレーンのクライミングが用いられる。
山奥に高い鉄塔が立っている不思議も、これで解決される。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」 JLogosID : 8567001 |