PC遠隔操作事件
【ぱそこんえんかくそうさじけん】
2012年6月~9月、遠隔操作ウイルスに感染したパソコンから小学校や子役タレントの殺害予告などの書き込みについて、全国で4人の男性が誤認逮捕された事件。
同年10月と11月、「真犯人」を名乗るメールが都内の有名弁護士や報道機関に、13年1月には報道機関にクイズ付きのメールが送られた。解答すると、神奈川県・江の島にいる猫の首輪にウイルスのデータ入り記憶媒体を装着した写真が表示された。
マスコミを利用し、捜査当局をあざ笑う「劇場型犯罪」の様相を呈した中、警察が島内の防犯カメラの解析を進めたところ、猫に近付く不審な男を発見。江の島からの帰りに使った車の通行記録などを調べ、その後の裏付け捜査で一部の事件に関与していたと断定した。
13年2月10日、警視庁、大阪府警、神奈川、三重両県警の合同捜査本部は、東京・江東区に住むIT関連会社勤務の30歳の男を威力業務妨害の疑いで逮捕した。
男は逮捕直後の調べに犯行を否認しているというが、05年にはネットの掲示板に殺害予告を書いた脅迫事件で逮捕、起訴。懲役1年6カ月の実刑判決を受けている。
事件はサイバー犯罪の捜査の在り方に課題を付きつけた。誤認逮捕が相次いだのは、従来の捜査手法ではIPアドレスを根拠に立件していたためだ。
違法な書き込みの発信元は、インターネット上の住所であるアドレスで割り出すことが可能ではあるが、捜査当局は、遠隔操作ウイルスで第三者に操られることまでは想定していなかった。ただ、横浜市の小学校襲撃を予告した事件では、約250文字の書き込みに要した時間はわずか2秒と不自然な点があったのに結果的に見過ごした。
誤認逮捕された男性らは「2ちゃんねる」でダウンロードした無料ソフトから、ウイルスに感染したという。
JLogos編集部
| Ea,Inc. (著:JLogos編集部) 「JLogos」 JLogosID : 12664824 |