アメリカ大統領選・本選挙(2012年)
【あめりかだいとうりょうせん】
(概要)
2012年11月6日に投開票される米大統領選挙の終盤戦にあたる。大統領選は1年をかけて行われ、08年のように第三勢力の候補が現れるケースも稀にあるが、二大政党制が基本の米国では本選挙に先立ち、民主党と共和党がそれぞれの大統領候補を決める予備選挙が行われる。
予備選は12年1月にアイオワ州でスタート。予備選が集中開催される3月の「スーパーチューズデー」などを経て、与党・民主党は現職のバラク・オバマ大統領、野党・共和党はミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事を候補に選出した。
本選挙は今秋、公開テレビ討論会や全米各地の遊説を経て、一般有権者の投開票(11月6日)、大統領選挙人による投票へと進む。民主、共和両党大会翌日の12年9月7日に発表されたギャラップ社の世論調査では、ロムニー候補に1ポイント差まで詰められていたオバマ大統領がリードを3ポイント差に広げた。
次期大統領の就任日は13年1月20日。
(解説)
デッドヒートで迎えた本選挙。リーマン・ショック以後の不況による社会不安が広がり、国論を二分する問題が次々と噴出し、その影響で両候補の主張がくっきりと分かれたためだ。
オバマ大統領は前回選挙で無党派層も含めた幅広い支持を得て当選したが、今回は支持率が伸び悩み、国民皆保険制度導入や富裕層への課税強化など「大きな政府」「左傾化」に拍車がかかる。
一方、ロムニー氏も本来は共和党の中で穏健な保守政治家の立場だったが、支持を広げるため、党内でも極めて右寄りで、「反増税・小さな政府」を掲げるティーパーティー(茶会党)勢力に歩み寄った。このため、「主張がこれほどはっきり違う大統領選は近年では珍しい」(12年8月31日・日本経済新聞)情勢となっている。
激戦になると、気掛かりなのは得票数の多さが必ずしも当選結果につながらない選挙システムだ。
本選挙では、一般有権者が各州の大統領選挙人(538人)を投票で選び、選挙人を過半数(270人)以上獲得した候補者が当選する。大半の州では、一般有権者の得票数で上回った方の候補者が、選挙人全てを獲得する「勝者総取り方式」を採用。このため選挙人の少ない州で負けが込んでも、選挙人の多い州の一般投票で1票でも上回ったために「逆転」することもあり得る。
実際、2000年の大統領選では、民主党のアル・ゴア候補が全米の一般有権者の総得票数で50万票以上もリードしながら、選挙人の数が多いフロリダ州で惜敗、共和党のジョージ・W・ブッシュ候補が競り勝った。
今回も選挙戦の展開によっては、激戦州で選挙人の多いフロリダが再びカギを握る可能性がある。
JLogos編集部
| Ea,Inc. (著:JLogos編集部) 「JLogos」 JLogosID : 12664638 |