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大津市いじめ自殺問題
【おおつしいじめじさつもんだい】

(概要)
 大津市立中学二年の男子生徒が2011年10月11日、自宅マンションで転落死。学校は直後に全校生徒にアンケートを行い、市教育委員会は生徒へのいじめがあったことは認めたが、当初は「因果関係は判断できない」との見解を示した。生徒の両親は12年2月に市や同級生らを相手取り損害賠償訴訟を起こしたが、市側は争う姿勢を見せた。この間、生徒の父親が3度、大津署に相談したが被害届は受理されなかった。
 学校や市教委、警察の対応が問題となる中、滋賀県警は同年7月11日、中学校と市教委を家宅捜索する異例の強制捜査に踏み切った。

(解説)
 いじめを苦にした子供の自殺はたびたび社会問題になってきた。
 1986年2月には、東京・中野区立中野富士見中学2年の男子生徒が自殺。この時は同級生が「葬式ごっこ」を行い、教師までも関与していたことが明らかになって衝撃を与えた。大津市の問題でも、学校が全校生徒に行ったアンケートから「葬式ごっこ」のほか、「昼休みに自殺の練習をさせられていた」「死んだハチを食べさせていた」「脅して銀行の口座番号を教えさせ、お金を取っていた」「自殺前に自宅の部屋を同級生2人に荒らされていた」――などの凄惨な実態が浮上。生徒が自分の貯金などから40万円余りを工面していたことも明らかになり(2012年7月15日FNNニュース)、恐喝や強盗の被害に遭っていた可能性もある。

 一方、大津市教委の対応にも批判が集まった。アンケートではいじめの実態を連想させる内容があったにも関わらず、調査を中途半端に打ち切り、遺族にも十分な説明をしなかった。当初は、自殺との因果関係を不明とし、訴訟でも争う姿勢を表明。行政トップの越直美市長が和解の意向を示しても主張を曲げず、強制捜査が始まってようやく「いじめも要因の一つ」(澤村憲次教育長)と一部認めるなど、ちぐはぐな対応を見せた。

 教育行政の職員を統括する自治体の教育委員会を巡っては、教育長以外が非常勤であるなどの「形骸化」が指摘される
 教育委員会の改革を訴えている大阪市の橋下徹市長は、大津市教委の対応について「日本の教育行政のウミ中のウミ。制度が機能していない象徴例」と激しく批判した。
 今回の問題を機に教育委員会制度の抜本的改革につながる可能性がある。(執筆;村上)




JLogos編集部
Ea,Inc. (著:JLogos編集部)
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