人の顔
【東京雑学研究会編】
§人の顔の左半分を見るとその人の本音がわかる?
誰でも毎日一度くらいは自分の顔を鏡で眺めてみるだろう。三面鏡なら、顔の正面だけでなく、左右の面も十分に映せるはずだ。そこで、自分の顔は左右どちらから見たほうが美しく見えるのか、わきまえている女性は多いと思う。
人間の顔が左右対称でないことは、テレビ番組でもとり上げられたりするので、よくご存じだろう。左右どちらかの面だけで合成された顔は、まるで別人のようだ。
ところで、左顔の方が感情をはっきりと表すそうである。というのは、人間の脳の左半球は身体の右半身を支配し、言葉や意識、意図をつかさどるのに対し、右半球は左半身を支配し、感情をつかさどるからである。だから、顔の左半面の方が表情豊かというわけ。
このことを実験によって証明したのが、アメリカ、ペンシルバニア大学心理学教室の研究グループだった。男女五名ずつのモデルに悲しみや喜び、怒りなどの表情を作らせて写真に撮り、これを顔の中心線で切って、右は右、左は左だけの合成顔写真を作って、明らかにしたのだ。
赤ん坊の笑顔のような無意識に現れる表情や、怒りでわれを忘れた大人の表情は、左右対称に近いらしい。しかし、意図的に合図をおくったり、他人をあざけっているような顔は、口がゆがんでいたりして、左右非対称になっているという。
芝居の舞台は、客席からみて右側を上手、左側を下手というが、役者は上手から登場することが多い。この場合も、観客の側からは、役者の顔の左側を見ていることになる。こんなところにも演出のきめの細かさがうかがえるのかもしれない。
カメラの前で、自分の顔の左側が写るようにポーズをとる人。それは、なかなかの正解といえるだろう。自分が美しく見える表情も左側によく現れるのだから。
ということは、相手に自分の感情の揺れを悟られたくない人は、左側を見せないようにご用心。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670797 |