吉良上野介
【東京雑学研究会編】
§吉良上野介はなぜ浅野内匠頭をいじめた?
一七〇一(元禄一四)年三月一四日。浅野内匠頭は度重なる吉良上野介のいじめに耐えきれず、殿中松の廊下で吉良上野介を刀で切りつける事件をおこしてしまった。
さて、刀で切りつけられてしまった吉良上野介だが、彼はそもそも浅野内匠頭の指導者だったのだ。
浅野内匠頭は、伊達宗春とともに勅使饗応役という天皇の特使を接待するありがたい役目に命じられたのだった。この勅使饗応役に必要な、式事作法や習慣などを教える立場に吉良上野介はいたのだ。
浅野家と伊達家は、このありがたい勅使饗応役のあれこれを教わる吉良上野介のもとへ早速手土産を持ってあいさつに出かけたのだった。この手土産が、その後事件を起こす引きがねになってしまったのだ。
まず伊達家は、黄金を一〇〇枚と竜虎の図、それに加賀絹数巻と、誠に豪華な手土産を持って吉良上野介を訪ねたのだった。
一方、浅野内匠頭はというと、カツオ節一連と扇子一対のみだった。この浅野家の手土産に腹を立てた吉良上野介は、自分の立場を利用して事あるごとに浅野内匠頭をいじめていたのだった。
浅野内匠頭は、そんな理不尽ないじめに必死で耐えていたのだったが……。
ついに松の廊下で、吉良上野介を刀で切りつけてしまったというわけだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670260 |