アメリカン
代表はトウモロコシ由来のバーボン
アメリカン・ウイスキーの代表格は、なんといってもバーボン・ウイスキーだろう。総生産量の約半分を占めるほどの人気がある。主原料のトウモロコシを51~79.99%使用したものがバーボンだが、これを2年以上熟成させるとストレート・バーボン・ウイスキーを名乗れる。また、トウモロコシを80%以上使用したものはコーン・ウイスキーと呼ばれる。
アメリカにはバーボンのほかライ・ウイスキー、モルト・ウイスキー、ホイート・ウイスキーなどがあり、それぞれ、ライ麦、大麦麦芽、小麦を51%以上使用することと定義されている。
発祥はケンタッキー州バーボン郡
バーボンの名は、フランスのブルボン王朝に由来する。独立戦争の際アメリカに味方したフランス国王ルイ16世にちなんで、ケンタッキー州の郡の一つが郡名をバーボンとした。1789年にバーボン郡に住む牧師エライジャ・クレイグがトウモロコシでウイスキーを造り、それに郡名をつけたのが始まりだ。合衆国成立後、政府の課税を逃れてケンタッキーに移住していた蒸溜業者たちがクレイグの製法を模倣したことから、バーボン・ウイスキーは広まった。
焦がした樽がバーボンらしさを生む
バーボンの最大の特徴は、内側を焦がした樽で熟成させること。「ホワイトオークの新樽を焦がしたものを用いる」と定められており、焦げた木の色と香りが、独特のバーボンらしさを生み出している。ちなみに、バーボンを熟成させた後の樽は、スコッチ・ウイスキーの熟成などに再利用されている。ほかにも「原酒に水以外のものを加えてはいけない」などいくつかの定義がある。仕込み水にはケンタッキーの石灰岩から湧き出るライムストーン・ウォーターが最適とされている。
テネシーで造られる独自のウイスキー
テネシー州製造のウイスキーは、「テネシー・ウイスキー」と呼ばれる。バーボンと原料や蒸溜方法は同じだが、蒸溜後にサトウカエデの木炭で濾過し、樽で熟成する製法を採用している。代表銘柄はジャック ダニエル。この製法をいち早く確立したことで知られる。
| 東京書籍 (著:上田 和男) 「洋酒手帳」 JLogosID : 8515558 |