頸椎後縦靭帯骨化症
【けいついこうじゅうじんたいこつかしょう】
Ossification Of Posterior Longitudinal Ligament〈OPLL〉Of The Cervical Spine
頸椎の脊柱管の前の壁、つまり椎体椎間板の後面を覆っている頸椎後縦靭帯が厚くなったり、骨になったりして脊髄を圧迫していろいろな症状を引き起こす病気です。そして当然のことながら脊椎管狭窄(きょうさく)を生じ、頸椎症、頸椎椎間板ヘルニアとともに頸髄症の原因となっています。
その骨化の原因は不明ですが、局所因子として不安定性、外傷、椎間板変性、彎曲異常などによる後縦靭帯へのストレスと変性、肥厚が、全身因子としてはホルモン異常、糖代謝異常、カルシウム代謝異常が推定されます。本症は全身、特に脊柱の様々な靭帯骨化の一部分症との考えもあります。日本などのアジア地域に多くみられますが、イタリアを除く欧米に少なく、民族差あるいは食生活など社会環境差のある病気です。
50歳以降の男性に多く発生し、また同一家族発生があり、遺伝傾向もみられます。この病気は骨化のX線学的形態より、[1]連続型、[2]分節型、[3]混合型、[4]その他に分類されます。また骨化が大型、比較的急速に進行する骨増殖型(hyperostotic type)と、骨棘(こつきょく)から発展して分節型の形態をとり、ゆっくり進行する脊椎症型(spondylotic type)の分類もあります。
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5035394 |