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標準治療病名 > 内分泌・代謝内科

糖尿病
【とうにょうびょう】

Diabetes Mellitus:DM

 糖尿病は血液の中に含まれるブドウ糖の濃度(血糖値)が高い状態が長く続く病気です。血糖値がある程度高くなると、尿の中にブドウ糖が漏れてくることがあるため、「糖尿病」と名づけられました。
 私たちが日常摂取する糖質(ごはん、パン、お菓子、果物など)は唾液、膵液、腸液に含まれる消化酵素によって、そのほとんどがブドウ糖となります。このブドウ糖は腸から吸収されて血液中に入ります。また肝臓からは蓄えられているエネルギー源の一部がブドウ糖として血液の中に放出されます。これらを合わせて「血糖(けっとう)」といいます。血糖は体のいろいろな細胞(脳、筋肉、肝臓など)に取り込まれて、エネルギー源として役に立ちます。
 では血糖値はどうして高くなるのでしょうか? それは血糖値の調節を担うインスリンというホルモンが正常に働いていないことが主な原因と考えられています。インスリンは膵(すい)臓のランゲルハンス島の中にあるβ細胞から分泌されます。このインスリンの分泌が低下したり、その働きが十分でない場合には、血糖が細胞内にスムーズに入っていけなくなったり、肝臓から過剰なブドウ糖が放出されたりして、その結果血糖値は高くなります。
 糖尿病にはいくつかの種類(型)があります。型の分類は以下のようになります。

●糖尿病の病型
1)1型糖尿病
 膵臓のβ細胞が破壊されてインスリンが出なくなってしまうことで発症する糖尿病です。原因は自己免疫性、ウイルス感染、特発性(原因不明)などがあります。血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンが体内で作られないわけですので、外からインスリンを補充しなければ血糖値はどんどん上がってしまいます。したがって、1型糖尿病の方は、生存のために毎日のインスリン注射が絶対に必要になります。子どもの頃に発症することが多い病型ですが、中高年の方に認められることもあります。

2)2型糖尿病
 糖尿病患者さんの約9割がこの型に当てはまります。この型の糖尿病は親や兄弟に糖尿病にかかっている人がいることが多く、遺伝が関係しているといわれています。そのほかに過食、肥満、運動不足、ストレス、加齢などの複数の因子が絡み合うと、インスリン分泌が低下したり、インスリンの働きが低下して2型糖尿病を発症することになります。中年以降の発症例の多くは2型糖尿病です。とくに肥満になると、インスリンの働きが低下して2型糖尿病になりやすくなります。中年以降の発症例の多くは2型糖尿病です。

3)その他の特定の機序・疾患によるもの
 特定の遺伝子の異常による糖尿病、膵臓の手術をした後インスリンが出なくなり発症する糖尿病、肝臓病や甲状腺の病気に合併する糖尿病、ステロイドホルモンなどの薬により発症する糖尿病などがあります。

4)妊娠糖尿病
 妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常のことで、すでに糖尿病と診断されている患者さんが妊娠した状態とは区別されます。診断基準は非妊娠時とは異なります。妊娠糖尿病は、[1]出産後2型糖尿病に移行しやすい、[2]胎児に体重過多などの合併症が起こりやすい、[3]子どもが将来糖尿病になる可能性がある、などの点で注意が必要です。




寺下医学事務所 (著:寺下 謙三)
「標準治療」
JLogosID : 5035177

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