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標準治療病名 > 心臓・血管

虚血性心疾患 狭心症
【きょけつせいしんしっかん きょうしんしょう】

Ischemic Heart Disease:IHD Angina Pectoris:AP

 虚血性心疾患は、冠動脈の動脈硬化やけいれんによって心筋への血流が不十分となり、虚血が引き起こされた病気の総称で、大きく「狭心症」と「心筋梗塞」に分けられます。狭心症は、胸痛や胸部圧迫などの狭心症症状を伴い心筋が壊死に陥っていない段階を呼びます。狭心症の症状を伴わず、また心筋が壊死(えし)に陥っていない場合は、無痛性心筋虚血と呼んで狭心症とは区別します。心筋が壊死に陥った場合は、心筋梗塞となります。虚血性心疾患は高齢社会の到来で患者数が増大している疾患です。病状が急変しうること、胸痛以外にも息切れや上腹部痛が主訴のことがあり、しばしば見落とされること、適切に処置すれば救命しうることなどから、臨床的にも極めて重要な疾患です。

 狭心症は、心筋が虚血(必要な血液が臓器に供給されていない)に陥り、胸痛や胸部圧迫感などの狭心症状を示す状態をいいます。狭心症状のみられない場合は、無痛性心筋虚血として区別します。
 狭心症は労作による症状の出現や病状の安定度などから分類されます。狭心症の重症度分類は、カナダ心臓血管協会の分類がしばしば用いられます。労作によって症状が出現する場合は労作狭心症、安静時にも出現する場合は安静時狭心症といいます。安静時狭心症の中には、冠動脈れん縮による狭心症も含まれますが、冠動脈硬化部のプラークが破綻して血栓が形成されている状態も多くみられます。
 狭心症を発作のパターンにより、安定狭心症と不安定狭心症に分類することも臨床的に重要です。新たに発症した狭心症(一般に3週間以内)や発作の頻度やパターン(持続時間、狭心痛の強さ、ニトロ製剤に対する反応性など)が変化してきた狭心症を不安定狭心症といいます。これは急性心筋梗塞に移行する危険性が高いため、入院治療が必要となります。安静時狭心症は貧血などの全身状態の悪化でも生じます。そこで、臨床経過や誘因を考慮したブラウンワルドの不安定狭心症分類が広く用いられており、不安定狭心症と急性心筋梗塞はCCU管理などの臨床的な対応が類似するので、一括して急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome)と呼ばれます。




寺下医学事務所 (著:寺下 謙三)
「標準治療」
JLogosID : 5035063

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