【福武国語辞典】や行 > ゆう
幽玄
【ゆうげん】

名・形動
【1】奥深く、微妙ではかりしれないこと。情趣に富んで味わいが深いこと。【2】表現のそとに無限にひろがる情趣・余情。日本の中世のあらゆる文芸美の基本的理念。{参考}もと中国の老荘・仏教用語で、よく見えぬ暗さ、かすかさ、はかりがたさ、などの意。平安後期、藤原俊成(ふじわらのとしなり)が歌合わせの判詞に、優艶(ゆうえん)であって奥深く微妙な美を幽玄と呼んでから、和歌の最高理念とされた。鴨長明(かものちようめい)は「無名抄(むみようしよう)」で「詞(ことば)に現れぬ余情(よせい)」といった。藤原定家(ふじわらのさだいえ)・二条良基(にじようよしもと)・世阿弥(ぜあみ)・正徹(しようてつ)など、歌論・連歌論・能楽論などに用いられ、複合的妖艶(ようえん)美の意や脱俗的平淡美の意など、微妙な差はあるが、中世文化の基本理念となった。
![]() | ベネッセコーポレーション (著:樺島忠夫/植垣節也/曽田文雄/佐竹秀雄) 「福武国語辞典」 JLogosID : 705418080 |